HPをご覧いただきありがとうございます。
札幌・桑園でライフスタイルショップ ARCHIBLEU(アルシーブル)を運営している酒井です。
ARCHIBLEUのショップは2025年7月7日にオープンしましたが、会社としては2025年3月に起業しており、もうすぐ一年を迎えようとしています。
店舗の運営にも少しずつ慣れてきたので、これからHPでときどきブログを書いていこうと思います。
正直、ブログは昔ほど必須ではないと思っていました。
今の時代、情報を発信するだけであればSNSでも十分に見えますし、日々の出来事を伝える手段はいくらでもあります。
ただ、実際に店を始めてみると、SNSではどうしても伝えきれないことがあると感じるようになりました。
たとえば、家具の細かな考え方や素材の違い、構造の話、なぜその形なのか、なぜその価格なのか。
あるいは、使い続けるためのメンテナンスや、長く付き合う道具としての価値。
そういったことは、短い言葉や一枚の写真だけではなかなか伝わりません。
目に見える雰囲気だけではなく、その背景にある考えまできちんと伝えるには、やはり文章が必要だと思いました。
そんな理由もあって、これが第一回目です。

第一回目は、ARCHIBLEUというショップについて書こうと思います。
私は20年ほどオーダー家具の会社で働いてきました。
さらにその前、専門学生の頃から家具を学んでいたことを含めると、家具に関わっている期間は22年ほどになります。
長くこの仕事に携わっていると、家具そのものだけではなく、家具を取り巻く環境や、売り方、選ばれ方まで大きく変わってきたことを感じます。
20年前は、SNSもオンラインショップも、今のようにあらゆる世代に浸透していたわけではありませんでした。
家具は基本的に、実際に店に足を運び、見て、触って、話を聞きながら選ぶものでした。
当時の札幌には、今ほど多くの家具店があったわけではありません。
百貨店の家具売り場、量産家具店、全国メーカーの商品を扱う地元の家具店。
そうした店が家具を探す場所の中心でした。
当時の百貨店の家具売り場や、長く地域で営業してきた家具店には、経験豊富な販売員や専門家が多くいました。
素材のこと、構造のこと、張地のこと、修理のこと、空間とのバランスのこと。
家具を単なる「物」として売るのではなく、その背景まで含めて説明できる人がいた時代だったと思います。
私がいた会社は小さな店ではありましたが、オリジナル家具やオーダー家具を重視し、日々かなり難しいことを請け負っていました。
お客様の要望を聞き、それを形にするために考え、調整し、ときには前例のないものをつくる。
そういう仕事を当たり前のようにやっている、全国的に見ても珍しい家具屋だったと思います。
その中で私は、家具のデザインだけではなく、製作、納まり、素材、価格、提案の仕方まで、本当に多くのことを学びました。
家具は見た目だけでは成立しません。
どれだけ美しく見えても、使いづらければ意味がない。
どれだけデザインが良くても、構造に無理があれば長くは使えない。
逆に、派手ではなくても、よく考えられたものには確かな力があります。
そういう当たり前だけれど大切なことを、現場の中で積み重ねながら学んできました。
そして、それらの経験を積み、独立の道へ進みました。
今の札幌には、以前よりも多くの家具店やライフスタイルショップがあります。
雑貨、アパレル、家具を扱う店も増え、昔に比べれば選択肢は確実に広がりました。
購入者にとってそれはとても良いことだと思います。
ただその一方で、10年ほど前から百貨店の家具売り場の多くは姿を消し、長く続いてきた地元の家具店も少しずつ減っていきました。
家具を専門的に説明できる場や、つくり手の感覚に近いところで話ができる場も、以前より少なくなっているように感じます。
多くの店が多ジャンル化したことで、空間としては魅力的になった反面、商社からの仕入れを中心に構成されることも増えました。
それによって、以前ほど深い知識や経験がなくても店として成立しやすくなった部分はあると思います。
もちろん、それが悪いということではありません。
ただ、私はその流れにどこか物足りなさも感じていました。

何を売るにしても、その人がなぜそれを選んだのか、なぜそれを良いと思っているのか。
そこに言葉としての重みがなければ、最終的には雰囲気だけの店になってしまう。
私はそれでは足りないと思っていました。
だから、自分の店に求めたのは 説得力でした。
ARCHIBLEUは、家具、雑貨、アパレルを扱う、いわゆるライフスタイルショップです。
見た目だけで言えば、今の時代によくある括りかもしれません。
でも自分の中では、ただ幅広く扱っているのではなく、すべてにきちんと理由があります。
家具は、自分が考え抜いて納得したデザインのものをつくること。
雑貨は、ただ置くだけの物ではなく、素材や技術、作家さんの仕事に信頼が持てるものを選ぶこと。
アパレルや古物、古着は、自分の目で見て本当に良いと思えるものを選ぶこと。
そして、その空間に自然に存在できるアートを、自分自身で描くこと。

つまりARCHIBLEUは、流行や表面的な統一感だけで組み立てた店ではありません。
自分がこれまで見てきたもの、学んできたこと、良いと思ってきた感覚、その全部を一つの空間に持ち込んで構成した店です。
家具だけでは空間は完成しません。
それぞれがきちんとした理由を持って選ばれ、無理なく同じ場所に存在するとき、その空間には独特の説得力が生まれると思っています。
ARCHIBLEUが目指しているのは、そういうバランスの取れたミックススタイルです。
名作と呼ばれるものは、もちろん素晴らしいと思います。
長く評価されてきたものには、それだけの理由があります。
ただ、名作だけが最高の品だとは思っていません。
無名なものの中にも、本当に良いものはあります。
作家名やブランド名だけでは測れない魅力を持ったもの。
大きく知られていなくても、素材、形、佇まい、仕事の精度に、確かな価値が宿っているもの。
そういうものは確かに存在します。
私は、そうしたものがきちんと評価される場をつくりたかった。
有名か無名かではなく、良いものは良いと感じられる場所。
知識のある人にも、感覚で選びたい人にも、きちんと理由を持って提案できる場所。
それがARCHIBLEUです。
自分が長く家具に携わってきた中で培ってきた感覚や経験、そして「こういう店があればいいのに」と思っていたものを形にした場所でもあります。
だからこそ、表面的な雰囲気だけでは終わらせたくないと思っています。

これからこのブログでは、店のことだけではなく、家具のこと、素材のこと、メンテナンスのこと、古物や服のこと、ときにはアートのことも少しずつ書いていけたらと思っています。
もし興味を持っていただけたら、たまに覗いていただけるとうれしいです。
